HCD-Netフォーラム2010に参加してきました

昨日、HCD-Netフォーラム2010「User Experienceが切り開くHCDの未来」に参加してきました。もちろん今の仕事(PROJECT UXをはじめとする活動)に関わりがあるから、という理由もあります。が、実は、私、10年ほど前までは「マン・マシン・インタフェース」や「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」といった分野の研究も行っていました。なので、今でも「人と機械の上手な戯れ」や「人を不快にさせないシステム」には興味があって、楽しみにしてたフォーラムでもありました。その当時はというと、今で言うところのソーシャルメディアのようなアイデア(勝手にメタアドレス通信とか呼んでました)や拡張現実感(ARとかMRとか)の研究もやっていたので、この1、2年のトレンドは見ていてとても楽しいです。

黒須さん、安藤さんのセッションに参加

話をフォーラムに戻しますが、今回のHCD-Netフォーラム、各セッションも懇親会もいろんな方と話もできてとても楽しかったです。パラレルセッションでは黒須さん、安藤さんからユーザーエクスペリエンスに関する最新情報の話で、それぞれの視点からわかりやすく解説していただきました。まだまだ研究中のこともあるとのことでしたので、これからの発展が楽しみです。(安藤さんのセッション資料はこちらです

気になること

その一方で気になることがひとつ。「利用者の満足を高め、またそれを維持することが大事である」このことは、実はほとんどの人が頭では理解しています。にもかかわらず、現実にはまだまだ使いにくいシステムが多く存在する現状があります。私はそのギャップが存在していることのメカニズムこそ解明して、対応していくことこそが大切ではないかと思ってます。きっと作る側が「利用者の満足を高める方法を知らない」だけではなく、「利用者の満足を高めることが企業の利益につながっていない」あるいは「企業の利益につながっていないと認識されている」ことが問題であると考えてます。そこで、セッションでお二人に質問したところ、次のような見解をいただきました。

  1. そもそも作ったモノの満足度をちゃんとその後ちゃんと確認していない
  2. 作り手がちゃんと現場に入って利用者の環境を理解していない

では、なぜそれができていないのか?このことはキッチリ探求していきたいです。興味のある方、既に見識お持ちの方、是非、一緒に探求しませんか。

懇親会

このフォーラムは始めての参加でしたので、懇親会ではいろんな方に声をかけて話しました。携帯電話のテストや設計やっている人、WebのデザインやサイトのUXやっている人、企業内のアプリケーション作っている人など様々です。そして、HCDを進めていくなかで、あるいは優れたユーザーエクスペリエンスの提供を進めていくなかで大切なことは「ユーザーのフィードバックをもらって、そこを埋めていくことである」という認識はもはや共通です。また、そのためにも、モノを作るときにプロトタイピングをしっかり行って、それを利用して現実のユーザーエクスペリエンスに一歩でも近づけていくことが大事だという認識も皆さん同じでした。特に、ソフトウェアの構築においては、それを実現する手段がまだ不十分な現状の中で、「マイクロソフトの提供するExpression Blend*1はかなり使えるツールだ!」と言っていただきましたので、そのまま記載しておきます(^^;

「いいモノつくろう、いいコトあげよう」

このメッセージは、私のtwitterのプロファイルにも書いていますが、これからも大切にしていきたい言葉です。モノを作ってそれを渡したらおわり、ではなく、それをもらった人が体験するコトの満足度を一緒に高めていく、その姿勢がHCDの目指すところであったらいいなと思ってます。

*1:SketchFlowという機能がプロトタイピングに使えます。この製品が気になる方はこちら